片腕カンフー対空飛ぶギロチン

おすすめ★★★★

一気に盛り上がって急降下で下火になった、カンフー映画ブームの終焉間際に、スーパースターだったブルース・リーが急死した後の台湾・香港の映画界では、俳優、監督、プロデューサーとして活躍していた、ジミー・ウォングが主演の、「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」という映画が公開されました。

「スカイハイ」の話を書いて時に予告したようにこの映画の話を書きます。

私が中学3年生の時のことで、受験生の私は本来ならば勉学に励んでいたはずでしたが、普段からたいした成績でもないのに、高校入試のために受験勉強など全く意味がないという考え方を共有する友達と、さすがに周囲には内緒にして、地元の松竹系の映画館(今はもう跡形もありません)まで、自転車をこいで観に行ったのでした。
香港映画なのに、なぜか松竹系で上映されていたのです。

映画の内容はともかくとして、腕がニョロニョロと伸びる格闘家と闘ってみたり、重力に逆らって天井を歩くとか、実際の人間ではあり得ない荒唐無稽な描写が、そんなの当たり前じゃないというようなノリで、当然のように出てくる作品になっていますから、常識とか理屈を考え始めたらバカバカしくなります。

道場を開いている片腕のカンフ-武術家が、ドラゴンボールの天下一武道会のような武術大会に参加して、卑怯な闘い方で勝ち進むわけですが、かつて弟子を殺された空飛ぶギロチンの使い手の武芸者が復讐のために、片腕カンフーに戦いを挑むという単純なストーリーですが、卑怯者の主人公とか陳腐なセット武器などが、世の中のB級映画ファンの琴線に触れているのかDVD化もされた上、クエンティン・タランティーノが大絶賛していることもあり、隠れた人気作品になっているのです。

どう考えても使いこなすのは無理でしょうと思って見ていた空飛ぶギロチンという武器が、実は存在していた、という検証動画をYouTubeで見たこともあって、日本以上に海外では知られた存在の映画なのかも知れません。

検証していた動画は日本のバラエティのようなヤラセと創作のいい加減なモノではなく、科学的な検証をするナショナルジオグラフィックで放送されていたものなので、それなりに根拠のある内容だと思いますが、字幕なしの英語だったことから細かい説明が理解できなかったのが残念です。

クエンティン・タランティーノのヒット作「キル・ビル」は、この映画を参考にして作ったと本人が言っているので間違いないと思いますし、「キル・ビル」の中では「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」にあったような場面が、チラホラと散見されるので「キル・ビル」が好きな人は、この映画も好きになるはずです。

DVDでしか見られないのが残念なので、動画配信でも流して欲しいです。
映画自体の評価としては★★★ですが、印象が強くて忘れることがないという
部分があるので総合結果として★★★★です。

公開日:1976年11月27日
上映時間:81分(オリジナル版)
製作国:イギリス領香港
監督・脚本:ジミー・ウォング
主演:ジミー・ウォング

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