ブルガリアを含むバルカン半島の国々では、古来から生前に何か悪い事をして亡くなった人はバンパイアとして蘇り、生きた人間を襲い生き血を吸う吸血鬼となって蘇る。
世の中に恐怖と災いを広げるという迷信や、伝説があったために亡くなった際には、復活を防ぐために心臓に鉄の杭を打ち込んで葬ったという伝承が残っているのですが、ただ単に伝承ではなく、その伝説を裏付ける姿の古い遺体が、伝説の残る地方で今でも時々発掘されています。
どんな悪事をすると、死後に復活して吸血鬼として蘇るというように認識され心臓に鉄の杭を打ち込むほどに恐れられたのかは、正式には解明されていないのですが、疫病(感染症)で亡くなった場合に、他人に感染させるのが悪魔の力だと考えられていたという見方もあるので、消毒用アルコールや抗生物質など防疫と治療の術がなかった時代には、感染症はそれだけ恐れられていたという
話なのかも知れません。
現代でも人間はそんなに進歩していなくて、感染症ではあるもののコビット19に感染して亡くなった方の場合、葬儀・告別式は行わず、外気に触れない抗菌ビニールの遺体袋で搬送されて家族が立ち会うこともなく火葬され、遺骨のみ返還されるということになっていますが、亡くなった人からウイルスの感染が広がるという事実はなく、亡くなってから数時間後には細胞に取り付いている
ウイルス自体が死ぬので通常の葬送をしても問題はない、と感染症の専門家が説明をしても行政が頑なに葬儀を認めないのはドラキュラ伝説の時代と大差のない非科学的な判断であり、遺された人の心のケアという意味でも通常の形で葬儀をすることを認めるべきであると思います。
という実際の問題についてはここまでにして、吸血鬼伝説を映画化して一時の隆盛を謳歌したのが、英国のモンスター映画の老舗であるハマーフィルムという映画製作会社でした。
今は亡きクリストファー・リーがドラキュラ伯爵を演じて、公開が古いためにモノクロ映画が多かったのですが、テレビで放映された作品はカラーの映画が多かったので、暗闇の中から真っ赤に血走った眼を光らせて、決して暴力的に獰猛に襲いかかるわけではなく、紳士然として首筋に犬歯を立てる吸血鬼の姿は、とても怖かったことを覚えています。
私が子どもの頃には、フランケンシュタインとか狼男など、藤子不二雄原作のアニメ番組「怪物くん」でおなじみのモンスターたちが登場する映画と、日本の「番町皿屋敷」「四谷怪談」「鍋島の化け猫」が夏の時期の定番としてテレビで放映されていました。
フランケンシュタインの怪物も、薄暗い実験室で人間の部品を繋ぎ合わせて怪物を作り出していく過程は薄気味が悪く、それでいて怪物自体は心根が優しいがために自分が作り出されたことに悩むという話で、外見にばかり囚われていると本当に大切なものを見失うというテーマの映画だったのですが、子どもでもそういう意図が理解できたのは監督の力量だったのでしょう。
ちなみに継ぎはぎの怪物自体のことをフランケンシュタインだと思っている人もいるようですが、怪物自身には名前が無くて、フランケンシュタインは怪物を作り出した人物(博士)の名前です。
そして吸血鬼=バンパイアと言えば思い出すのは、やっぱり故・手塚治虫氏が描いた漫画(実写ドラマ化もされました。)のバンパイヤです。
※ 海外の映画はバンパイアで、手塚氏の漫画はパンパイヤです。
ドラマ・映画の相棒で冴えた刑事を演じている水谷豊さんが、月を見ると狼に変身するバンパイヤでありながら人間との共存を果たすため、悪人のロックと戦うという物語で、実写にアニメを描き加えて狼に変身する場面など、当時のテレビドラマの技術では画期的だったと思います。
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