
生涯のベスト10に入る作品です。
現在の興行成績(通算ではなく現時点の週間興行ランキング)で一位の作品は、2001年に公開された「千と千尋の神隠し」なんですね。
新作の大半がコロナ禍の影響で公開延期状態で、多くの人に支持されるような作品が公開されていない、というのも確かに理由の一つではあると思いますが、公開時から約20年の歳月が経っているにも関わらず、いまだに日本の映画興行収入第一位の記録が破られていない名作であり、そしてまたスタジオジブリの傑作である作品ですし、先行きの不透明な暗い世相の中で生きていく希望とか、いろいろな人や自然の力で生かされているといったスピリチュアルな意味合いもあって、鑑賞する人が多いということなのでしょう。
人それぞれに感性の違いがありますから、賞味期限の切れた芸人の松本人志のように駄作だと公言する人もいますが、この人が監督した作品が何一つとして評価されることもなく、あまりの観客の少なさに見切りをつけられて、当初予定よりも早く打ち切られたことを考えれば、駄作だと言っている本人の感性自体が、大半の人々と大きな乖離があることもまた事実であると書いておきます。
それはともかくとして私的には「思い出のマーニー」がジブリ作品の中で二位になるぐらいなので、私の感性も世の中のマジョリティではないだろうなとは自覚していますが、そんな私でさえ「千と千尋の神隠し」は何度見ても良いという言葉しか出てこないぐらい好きな作品です。
この映画が公開されたのが、今から19年も前のことですからね、現在高校生の人よりも下の年代の人は最初に映画館で公開された時には、まだこの世の中には生まれてもいなかったわけですから、見方を変えれば古い映画なんですよね。
そんな古い(という表現は的を得ていないかも知れません)映画でありながら、何度も繰り返される地上波放送での視聴率は2019年の時でも17.9%でした。
ネット配信の番組やストリーミング動画の契約者が増加して、テレビ離れが進む現代の放送不況の時代の中でも存在感のある数字です。
もっとも初放映の時は46.9%ですから比較にならない数字のように見えますが、18年前の映画を2-3年の周期で放送し、DVDも200万枚売れていることを考えると、驚異的な視聴率だと言えると思います。
「千と千尋の神隠し」のイメージの元になったとされる台湾の九扮は映画公開の後から、日本からの観光客が大きく増えているわけですが、20年近くの歳月を経た現在(感染対策をしている直近は除外)でも帰る時の予約をしておかないと、現地から台北までタクシーで帰れないほどの盛況ぶりになっています。
※キュウフンの漢字(人偏に分)は、機種依存文字のため表示できないため、九扮という文字で代用して表示しています。
いろいろな解釈の仕方があって、人それぞれに好きなシーンがあるのが名作と呼ばれる映画の特徴だとは思いますが、特に「千と千尋の神隠し」については、論争と呼ばれるほどの解釈の違いがあるので、ここでは私の見方について詳細を書くことは止めておきます。
映画を観てから18年の間には、いろいろな出来事があり「生きている不思議も死んでいく不思議」も現実として受け入れてきて、この映画の奥深さをさらに強く感じているのが実際のところです。
窯じいを演じていた菅原文太さんも亡くなってしまい、確実に時は流れていることもまた実感し寂しさを感じると共に、また映画館で上映されて、共有できる世代が増えることに嬉しさも感じています。
実際にはモデルになったわけではないとも言われますが、イメージとして九扮にも行ってみたいと思っていますので、コロナ禍が収束して落ち着いた頃には、海外旅行再開の一回目として九扮に行くのも良いかなと思っています。
個人評価:★★★★★
公開日:2001年7月20日
上映時間:124分
製作国:日本
監督・脚本:宮崎駿
主演(声):柊瑠美、入野自由、夏木マリ
動画配信:現在はありません
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