日本の怪獣王ゴジラが、シン・ゴジラと名前を変えてエヴァンゲリオンファン向けのマニアックな存在になった現在、普通に娯楽作品として観ることが可能なのはハリウッド版のみになりました。(と個人的には思っています)
リアリティを追求したという割には、体長100メートル以上の大怪獣が歩いて長い尻尾を振り回しても、微風も吹かないというリアリティの無さに呆れたので「シン・ゴジラ」に全く興味はなく、観たかったのは怪獣映画であって会議の映画ではないというレビューを読んで行かなくて良かったと思いました。
映画を仕切った庵野氏に対して個人的な恨みなどなにもありませんが、日本の怪獣王であるゴジラに、自身のライフワークの「エヴァンゲリオン」の世界観を持ち込むことによって、マニアックなエヴァンゲリオンのファン層の支持は得られることは出来るかも知れませんが、アニメに全く興味のない怪獣映画の特撮のゴジラが好きな、単なる怪獣映画好きにとっては、迷惑以外の何物でも
なかったことは覚えておいていただきたいものです。
異様に上肢が小さくて、単純に「ご飯が食べられないじゃない」という感じになってしまっているゴジラには不気味さは感じても強さと威厳は感じません。
という「シン・ゴジラ」に対する失望感はともかくとして、ムートーと戦って意気揚々と海に帰って行ったゴジラが去って、5年後の世界が、2019年に公開された「ゴジラ キング・オブ・ザ・モンスターズ」で描かれた世界です。
神話の中で語り継がれてきた伝説の生き物=タイタンたちが、現代社会に蘇りモンスターゼロと呼ばれる宇宙怪獣ギドラ(ハリウッド版ではキングギドラという名前ではありません)が中心となって、地球上の生態系を破壊しつくして怪獣たちにとって住みやすい惑星に変えようと動き出すという話で、地球上の各地で怪獣たちが目覚めます。
秘密裏に怪獣たちの調査と監視をしていた秘密機関「モナーク」が、ゴジラの支援を行い、ギドラとの最終決戦へという流れになって、渡辺謙が演ずる芹沢博士はゴジラにエネルギーを供給するために核弾頭を起爆させたり、モスラが消滅して生体エネルギーをゴジラに吸収させるとか、日本のゴジラ映画の一部の設定を抜き出したような感じで、最後の戦いではゴジラは東宝で製作された
「ゴジラ対デストロイア」の時のように灼熱のバーニングゴジラ化してギドラを焼き尽くすという無双ぶりを見せています。
最後は怪獣王として、怪獣たちに自然環境の再生をさせる地球に優しいゴジラになっていますが、その一方でエコテロリストがゴジラに食いちぎられて海に落ちたギドラの首を買い付ける場面もあるので、メカキングギドラが登場する続編の構想もあったのかも知れません。
怪獣映画なので映像を見てこそのものですからね、U-NEXTで観られますので怪獣映画を子供映画だと思わない人には見ていただきたいです。
破壊王ゴジラではなく、東宝映画のゴジラのように地球にやさしいというのが、ウケが悪かったのか、前作の「ゴジラ」のようなヒットはしませんでした。
ラドンがロダンになった理由はわかりませんが、モスラはモスラのままなので「ラドン」という単語に何か拙い意味でもあるのかも知れませんね。
日本のモスラの時はザ・ピーナッツが、ドンドコドコドコいう太鼓に合わせてモッスラ~やモッスラ~と、モスラのテーマ曲を唄うことによって、モスラを覚醒させていましたが、ハリウッド版ではモスラの幼虫との間で意思の疎通が可能な少女が登場しているのが、東宝に対する礼儀のように感じられました。
次回作として「ゴジラ対キングコング」が予定されていましたが、この作品の興行成績があまり良くないということと、コロナ禍の影響で撮影は中止になり延期の情報もないので幻の作品になる可能性が高いように思います。
キングギドラを熱線で消滅させるほどの力を持つゴジラに、戦う技は力技しかなく、体長で四分の一ぐらいしかキングコングがゴジラに勝てるわけがないということに気付いて、無理があるので止めたかもしれませんね。
個人評価:★★★★
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