最近の映画はドラマを長尺にしたような作品がほとんどで、中にはドラマより内容の薄い映画があるので、個人的には問題外だと思っています。
但し、現在の映画を好きだという人もいるわけですから、私の考えが正しいと主張するつもりはありませんからね、現在の映画が大好きだという人の趣味を否定するものではないという点は、ご理解願いたいです。
昔からの映画会社の中では、現在も東映・東宝・松竹が残っていて映画の製作は続いていますが、東映は任侠映画のイメージ、東宝はゴジラ映画のイメージが強いので、個人的に日本映画というと松竹映画かなと思います。
松竹映画と言えば「男はつらいよ=寅さん」「釣りバカ日誌」「必殺」などの各シリーズが定番というように思っていますが、私が好きな松竹映画と言えば銀ちゃんとヤスの名コンビと小夏が絡む「蒲田行進曲」なのです。
ギンギラの派手な外車を乗り回し、大部屋の役者を手下として使い、売れない女優を手玉にとって大物俳優を気取った銀ちゃんが、実は相当の小心者であり大部屋俳優の取り巻き連中に、なにかと盛り上げてもらわないと自分に自信を持つことすら出来ないダメ男という設定に、まずは笑える映画ですが、その後の展開でアクションあり、人情劇ありの日本映画の面白さを凝縮した映画だと
今でも思っています。
名もない大部屋俳優として命がけのスタントを何本も掛け持ちしないと、自分の奥さんが暮らしていく生活費も稼げないヤス。
その窮状に応える形で、高額の仕事を殆どヤスに振り分けているシーンなどの見過ごされてしまうような小さな場面を丁寧に描写して、さりげなく人の情を感じさせてくれる演出には温もりを感じますし、スタントシーンでは公開当時もっとも派手なアクションを演じていた千葉真一、真田広之、志穂美悦子たちが、特別出演して、それぞれに迫真の演技を見せてくれるサービス振りに監督
と俳優との信頼と絆を感じ、本当に映画を愛する人たちが作っている映画だという印象をとても強く感じた映画でもありました。
やはり故・深作欣二監督は日本の名監督だったと思います。
語り継がれる階段落ちシーンも含めて、交わされる言葉は荒くても他人を思う気持ちをそれぞれが共有し、誰一人として悪役がいない、そしてまた誰一人として死なないのに、心から感動できる映画はそんなにあるものではないですがこの映画がそんな映画なので本当に大好きな映画です。
ドライな若い世代の方には理解できないかもしれませんけどね。それはそれで仕方ないことなので、高齢者の一歩手前の世代は満足なのです。
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